姫路市は、兵庫県西部では最も人口が多く、世界遺産の姫路城を抱えて発展した街です。地方都市の駅前の商店街がどんどん廃れていく中で、この街では、駅から城に伸びる商店街は、いつも多くの人で賑わっています。駅前もきらびやかに再開発されましたが、反面、昭和の遺産がへばりついたままの場所があります。そんな、姫路市営モノレールの廃線跡を歩いてみました。
1966年、姫路駅と手柄山公園駅の1.6㎞を結ぶモノレールが開通しました。当時、手柄山公園で姫路大博覧会が開催され、会場までの足として機能していました。
大将軍という途中駅があり、10階建ての高層アパートの3、4階を駅にするという斬新な造りでした。この駅、利用者がいなくて2年後には廃止になっています。姫路駅から500m程の距離に駅があったので、列車を待ってるより歩いた方が早かったそうです。
モノレールも1974年に運行休止、1979年に廃止になっています。8年間だけ稼働したモノレールでした。
莫大な費用をかけて建設されて開通後も赤字を垂れ流し続け、現在も、道路の拡張等の際に結構な費用をかけて支柱を撤去するという、姫路市には疫病神みたいな存在になってますが、建設された当時は自治体の枠を超えて、鳥取まで延伸しようという計画もあったみたいです。まさに、つわものどもが夢の跡。
姫路駅の北側から廃線跡が始まります。建物の屋根から煙突のように突き出してるのが、モノレールの軌道の支柱です。
建物の中にモノレールの支柱があるという、それはそれで非常に斬新な造りなんですが、中はどんな感じか見てみたいです。支柱の下には、やってるのかやってないのか、わからないような店舗が続きます。
新幹線の姫路駅から3分歩くとこんな感じの景色になります。予備知識がないと、これが一体何なのか全然わからないと思います。
モノレールの支柱が無くても、充分昭和を引きずった景色です。
ちょっと開けた場所にでると、このようなガッツリした支柱が立っています。
しばらく歩くと空地があります。ここが、途中駅のあった高層アパートの跡地です。
ここに、1,2階が商業施設、3,4階がモノレールの駅、5~10階が住宅という高層アパートがありました。高尾アパートという名で、モノレールの廃線後も、斬新な造りが人気で姫路の隠れ人気スポットになってたみたいです。
2017年に解体されましたが、建物の解体後、地中梁が途中で折れていたり、曲がった状態で打ち込んでいたりが判明して、無理に撤去すると振動等で周囲の建物を破壊する可能性があるということで、新しく建物を作るのは不可能と判断したみたいです。駐車場にするそうです。
建物があった頃は、こんな感じでした。
写真は姫路市のHPから拝借しました。
私も、初めて見た時は既にモノレールは廃線になってましたが、何これ?とびっくりしました。
大将軍を過ぎると、軌道は大きくカーブして川沿いを進みます。この辺りからは軌道も、道路や鉄道と交差してる場所以外はほったらかしです。
民家や店舗のすぐ後ろに、普通に支柱と軌道が立っています。でかい地震とかが発生するとヤバそうな気がするのですが、その辺はどうなんでしょうか。
2017年に、37年間閉鎖されていた手柄山駅が、リニューアルオープンした姫路水族館に併設されてモノレール展示館としてオープンしました。
かつてのプラットホームを再現して、車両も展示しています。
姫路市、悪夢だったモノレールを、歴史と見る余裕ができたんでしょうか。