自称廃墟カメラマンなんですが、昨年、体調不良になって以来、遠出ができなくて廃墟に全然行ってません。体調もかなり回復してきたのでそろそろ活動を開始しようかなと思い、まずは近場の姫路市に行ってみました。
私の場合、廃墟好きと言っても、心霊スポット等には興味がありません。かつては人が集まり栄えた時期を経て、役割を終えて誰も居なくなった建物や場所が自然に還っていく風情が心に響くといった感じでしょうか。肝試しをするような場所には行きません。
姫路市新在家という所にある観音寺という寺に行ってみました。この寺の由来等は説明版もなく、ネットで調べても全然わかりませんでしたが、境内に背面十字架地蔵があるというので、その存在を知られています。
背面十字架地蔵というのは、前から見ると普通の地蔵なんですが、背中に十字架が刻んである地蔵です。姫路市の隣の加西市で、このような地蔵や石仏が多数発見されています。隠れキリシタンの信仰の対象になっていた地蔵だそうです。
隠れキリシタンと言えば、まず長崎県が思い浮かびますが、姫路は、キリシタン大名だった黒田孝高(官兵衛)の領地だったので、信者が多くいても不思議ではないと思います。近くの明石は、同じくキリシタン大名の高山右近が治めていたし、播磨地方は、キリスト教の信者が多かったのかも知れません。歴史にはあまり詳しくないので、ただの思い付きですが。
この地蔵が境内にあるところを見ると、この寺も隠れキリシタンと関係があるのかななどと考えてしまいます。
寺は無人になってから相当な期間が過ぎているようです。檀家か近所の人が掃除でもしているのか、荒れ放題といった雰囲気ではありません。
敷地はあまり広くはありませんが、立派な造りの寺です。隣は墓地になってます。
このまま朽ちていくのが惜しいような立派な建築です。住職の後継者がいなくて、このような空き寺がすごく増えているらしいです。
長崎県の教会堂や隠れキリシタンの里には行ったことがありますが、背中に十字架を刻んだ地蔵を見たのは初めてです。昔の人の信仰心の強さを垣間見たような気がしました。